照屋勝武三線店の歴史
創業者、勝市は戦後三線作りを始めた。
勝市は戦前から三線が好きで古典音楽の愛好者であった。現在、読谷村上地出身者で三線店を営む者が多いが、勝市が先駆者であった。
勝市は戦後、石川捕虜収容所にいた時、当時石川3区にあった仲田三線店で三線の作り方を習った。
収容所を出た後も家族で石川に留まり、カバヤー(テント小屋)で暮らした。そこで三線店を始めた。
当時、三線作りには胴(チーガ)に馬の皮を張り、ツーバイフォーで棹を作っていた。
二代目勝武は1974年から勝市に弟子入りし、1995年に後を継ぐ。現在に至るまで48年間、演奏と製作の二足のわらじを履きながら「よい演奏家でなければ、よい楽器は作れない」という、父の遺志を大切に守り、現在は三代目である息子とともに三線を作り続けている。
20歳の時、父勝市の指導を受けながら三線を作り始める。以来40年以上作り続けている。
常に棹材との対話を心がけ、人間より寿命の長い木が三線として再び生まれ、皆々様に永く愛されるようにと願いながら製作している。型をきっちりと保ち完璧な型を追求する。古人(いにしえびと)は三線を床の間に飾り、美を求め深く豊かな音を追求した。三線を愛しむこの沖縄の風土をいつまでも大切に残したいと願っている。
01 棹の加工
02 棹の漆塗り
03 胴の加工
04 胴張り(蛇皮張り)
05 胴掛け、糸掛け、絃掛け(範)、駒の加工
06 組み立て
棹の材料は黒檀に黒漆塗り。胴材は琉球槙(チャーギ)、胴張り皮は南方産の蛇皮である。棹材として最も良いとされる八重山黒木は珍重であるがゆえに乱伐にあい。
現在流通している黒檀は、フィリピン・ベトナム等の輸入黒檀がほとんどである。
当店では、先代勝市が二代目勝武6歳の頃、家族の建築費用として蓄えられたお金を全て投入し、当時はまだ流通していた八重山黒木の購入にあてた。
現在はその八重山黒木を大切に保管し、顧客の注文に応じている。
棹材は全て自然乾燥し、棹材の製作には細心の注意を払っている。